2017年2月1日水曜日

感情の演技に関する誤解が解ける

笠原敏雄著「幸せを拒む病」(フォレスト出版、2016.06)における感情の演技に関する次の比喩説明の理解について誤解が解けたような気がしますので、メモしておきます。

次の記述の太字部分に強い違和感を感じていました。

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感情の演技を効果的に行なうコツについて

感情の演技を効果的に行なうには、コツがあります。

それは、感情を作るのがなるべく難しくなるような条件を設定するということです。

一般的なコツは、目標とすることをできやすくするための工夫という意味ですが、感情の演技の場合には、抵抗が起こりやすくなるように、なるべく難しい条件を選んで行なうほうが効果的なのです。

それは、感情を作ろうとする努力を通じて、幸福に対する抵抗に直面させることこそが、治療に直結するからです。

棒高跳びを例にとって説明すると、バーを低くすれば簡単に挑べますが、それでは実力は伸びません。

実力を伸ばすためには、バーを簡単には跳べない高さに設定する必要があるのです。

それが跳べそうになったら、バーをさらに高くします。

具体的にどのようにするかについては、次項で説明します。

実際に素直な感情を作るのは非常に難しく、わずか2分であっても、最初は集中すら難しいかもしれません。

何度か繰り返すと、集中はある程度できるようになりますが、それでも感情を作るのは難しく、先に述べたように、むりやり作ろうとすると、あくび、眠気、身体的変化という3種類の反応のどれかが出るようになります。

そうした反応を押して、むりやり感情を作る努力を重ねることが、そのまま治療につながるのです。

そこが自己暗示と全く違うところです。

感情ができなければ治療に結びつかないのではなく、感情ができなくても、感情を作る努力を重ねてゆけば、自然に好転に向かうということです。

目的は、感情を作ること自体にあるのではなく、抵抗に直面することにあるからです。

笠原敏雄著「幸せを拒む病」(フォレスト出版、2016.06)から引用
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1 これまで感じていた違和感

私は、スポーツ棒高跳び練習では一般に練習して低いバーを跳べるようにすると考えます。

それが跳べて初歩的な自信がつけば、もう少しバーを高くして、練習して、跳べるようにすると思います。

少しずつバーを跳ぶという実績、自信を積み重ねて、いつぞやに世界新記録まで出るようになるのだと考えています。

一方、「棒高跳びを例にとって説明すると、バーを低くすれば簡単に挑べますが、それでは実力は伸びません。実力を伸ばすためには、バーを簡単には跳べない高さに設定する必要があるのです。それが跳べそうになったら、バーをさらに高くします。」という方法では世界記録はおろか、進歩ができないと考えます。

このような非合理練習法はあり得ません。

そのような非合理練習法である感情の演技に疑念を持ちました。

2 解けた誤解

ふと、20代の終わり頃禁煙に成功したプロセスを思い出したとき、自分の誤解が解けました。

日に50本はタバコを吸っていたのですが、2回禁煙に失敗して、3回目に禁煙に成功しました。

禁煙3日目頃喫煙欲望が最高潮になりました。

その時、禁煙成功の喜びを味わうために、とにかく1週間だけ喫煙欲望を抑える苦しみに耐えようと考えました。

3日程苦しみに耐えるといつのまにか喫煙欲望はおさまり、結局禁煙に成功しました。

この禁煙体験の中で、禁煙成功の喜びを味わうために、とにかく喫煙欲望を抑える苦しみに耐えるプロセスがあるのですが、それが感情の演技と似ていると直観できたのです。

禁煙活動と感情の演技が同じかどうかはわかりませんが、「棒高跳び」比喩は次のように理解すべきものであることが判りました。

感情の演技を棒高跳びを例にとって説明すると、バーを簡単には跳べない高さに設定して、それが跳べそうになったら、バーをさらに高くするという跳べない苦しみを味わうというものになります。つまり実際のスポーツ練習とは異なるものになります。抵抗に直面するという苦しみプロセスそのものに治療効果があるのです。

誤解が解けた上に、感情の演技の合理性、有効性に関する認識が直観的に深まりました。

感情の演技とは意識と無意識の折り合いをつけるプロセスだと考えます。

思考と感情の折り合いをつけるプロセスだと理解してさらに学習を深めたいと思います。

風景


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